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うらかわ園芸通信No.28 2020新春号

正月といえば門松

2020新春号 門松

門松は、歳神様の依代(よりしろ)と言われており正月飾りのなかで、最も重要なものとされています。歳神様が迷わず降りて来るための目印となるものです。

依代とは、心霊が依り憑く対象物のことをいいます。門松は、正月の家々の門前に立てるもので「松飾り」、「飾り松」、「立て松」とも言います。関東では、丈の高い太い竹に松をそえたりしますし、関西では、松の枝または小さな若松を用いたりします。

昔は、榊(さかき)、栗、柳なども用いられましたが、今でも地方によっては、栃『トチノキ科の落葉高木』杉『スギ科の常緑高木』楢『ブナ科の落葉高木』葛『マメ科のつる性多年草』椿『ツバキ科の常緑高木』朴『モクレン科の落葉高木』などを飾るところもあります。松は、昔から常に緑であり、おめでたい木とされており、鎌倉時代以後になって、松に竹を加えて門松とされるようになったと言われています。

「松竹梅」は縁起がいい言葉

縁起物の代表と言えば、松・竹・梅(しょうちくばい)。
降り積もる雪に負けることなく、絶えず枝葉を伸ばし続ける松と竹。寒さに負けず、花を咲かす梅。この「強さ」と「ひたむきな姿」を昔の人は人の美学になぞらえた。

  • 門松の松
    門松の松
    • 松は古来より神様が宿る木と考えられている
    • 松は生命力が強く千代・千年の齢とされ、長寿の木と考えられている
    • 松は神を祀る(まつる)という言葉につながる
    • 松の葉は上を向き、さらに神様を「待つ」という言葉につながる
  • 門松の竹
    門松の竹
    • 竹は万代をふるものとして長寿を願うもの
    • 竹は成長が早く、生命力の象徴、繁栄の象徴とされる
  • 門松の梅
    門松の梅

    新春に咲き1年の始まりを意味している梅は、古来から日本人に愛され、実を宿すことから縁起の良いものとされています。
    お正月にはおめでたい紅梅と白梅を飾ります。

新元号「令和」と梅・・・

まずは既にご存知の方も多いとは思いますが、改めて令和と梅との関係についてまとめてみました。
「令和」の文字を引いたのは、万葉集巻五に収録された梅花の歌の「序」の中の

初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす

「梅をめでながら旅人が宴を楽しんでいる心情を詠んだものだ」と言われております。太宰府というとても福岡の方には身近な場所が宴の舞台となっており、発表された際は大変驚きました。
「梅は鏡前の粉を披(ひら)き」というのは、鏡の前でおしろいをはたく女性のように美しく梅が咲いているという意味との事です。「蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」の珮後は香り袋のことで、蘭も香っていると読んだとされてます。旧暦では春ですが、現代でいうと2月頃になるようで、気持ちいのいい季節に花を読んだ歌とされており、意味がわかるととても心地のいい歌に思いました。この万葉集ができた時代も争いが多く、平和を願った歌とされているようです。

寒い季節で外にでかけるのはおっくうになりがちですが、もう少しすれば梅が見られる季節になっていきます。まだあまり花や緑が多く咲いてない中で、ぱっと咲き誇る梅は春の訪れを少し感じさせてくれます。
また梅と言えば太宰府天満宮の菅原道真公が読んだ歌があります。

東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ

「春風が吹いたら、香りを大宰府にいる自分まで送り届けてくれ、梅の花よ。主人である私がいないからといって、春を忘れてはならないよ」
と無実の罪で京の都から大宰府に左遷される際、自宅に植えていた梅の花にこの歌を詠みました。
その後大宰府に着任した道真公を追って、京にあるはずの梅の木が一夜にして飛んできたとされています。それが天満宮の本殿に向かって右側に咲いている飛梅です。飛梅とは神木として知られる梅の木の名称との事です。まるで神話のような話ですが、前述にも述べたように梅は昔から日本人に親しまれてきた花だということがわかります。

「梅」は品種が多く、現在では30種以上あると言われてます。園芸学的に分類すると、花の観賞を目的とする「花梅(はなうめ)」と、実の採取を目的とする「実梅(みうめ)」に分けられるそうです。
ここでは早く梅を見てみたいという方に早咲きの代表的な梅について何種類か紹介していきます。

早咲きの代表的な梅
  • 紅冬至(こうとうじ)時期:12月中旬~1月上旬/中輪
  • 初雁(はつかり)時期:12月中旬~1月中旬/極小輪
  • 冬至(とうじ)時期:12月中旬~2月上旬/中輪

この3種は野梅系(やばいけい)と言われる梅の種類3系の一つであり、花は白または淡紅が多く、香りが高い。果実は丸い。

今月の植物

うらかわ園芸通信 2020新春号 メグスリノキ(目薬の木)

メグスリノキ(目薬の木)

東北地方中部以南に自生する日本固有の樹木。カエデの仲間ではもっとも紅葉の美しい部類に属する。
民間療法にて、樹皮や葉を煎じたものが眼病に効くといわれることからメグスリノキと呼ばれています。メグスリノキに含まれるドデンドロール・タンニンという物質が抗菌作用を持ち、現代でも健康食品としてそのエキスが利用される。
眼病のみならず、二日酔い、肝機能の向上、動脈硬化予防等に効果があると言われています。

由井

編集後記

明けましておめでとうございます。
皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。
本年もさらなるサービス向上に向け、気持ちを新たに、社員一同取り組んでまいります。

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